こんにちは、ヒナタです。
半年もブログを放置してしまいました。
最近、「未必のマクベス」という香港が舞台の小説を読みました。
帯には大絶賛、発売時に私が知らなかっただけで
書店でも山積みの話題書だったようです。
香港に関係のある本なら読まないわけにいかないので、一読しました。
読んでみて、なんか違う・・他の人の感想では大絶賛なのですが。
あれから1週間、どうにもモヤモヤがおさまらないので、
とても
個人的な見解の読書感想文を思いつくまま書いていこうと思います。
・主人公が上から目線。
中井(38)は香港に何度も足を運んでいたようですが
中井より長く住んでいる森川(35)への評価が
上から目線。
森川が仕事の説明を始めいきなり本題に入ったので
「枕ことば無しで話を始めるなんてなってない」
というくだりから中井がなんとなく鼻に付き始め最後まで無理でした。
香港で長く働いていたらそういう日本ぽい言い回しがまどろっこしいのです。
それに中井は心の中で毒をはくだけで、森川に言わないところも気持ち悪い。
「そういう時は、「さっそくですがー」とか言ったほうがいい」と
はっきり言ってくれないと、新しい上司の気にする点が掴めないし、
悪気の無い森川も可哀想。ビジネストークを知らないなあとか思ってるんでしょうが
香港駐在してきたなら、日本の商文化を基準に判断しないでください。
・プ―アル茶の入れ方にうるさい上司
森川の入れ方がまずいから「今度教えてやらなくては」ってまだ心で思う。
出張で足を運んでいた程度の中井がプーアル茶の正しい入れ方知ってる?
まずかったのは茶葉の削り方の問題じゃない。
おそらく森川はウェルカムで買ったティーバックで入れたんじゃないか。
・飲茶は昼にするもの
森川と夜に「陸羽茶室」で点心を食べるシーン
飲茶といえばこの店ですが、ガイドブックでもよく見かける有名店。
22時まで営業していますが、問題は夜に飲茶していること。
一般的に香港で飲茶は朝7時~午後16時くらいまで。
何も知らない旅行者が夜ごはんに飲茶したいというレベルの間違い。
もちろんレストランなので夜でも点心を提供してくれる店もあるが、
点心プラス上海ガニはちょっと恥ずかしい。
上海ガニを食べるなら、ちゃんとシーズンに、上海料理店へ行って、
上海ガニのコースを食べてほしい。
私が森川の立場なら指摘する。
・中井がとにかくキューバリブレ飲みすぎ
場所や時間が変わってもラムとダイエットコークを割ったキューバリブレを飲む。
これが他の読者の感想だと「ダンディズム」「こだわり」「渋い」そうだ。
これは私が女性だから理解しがたいのだろう。
そもそもダイエットコーラと普通のコーラを飲み比べたら、
普通のがどれだけ美味しいの分かる。
ダイエットコーラは人工甘味料の味が舌に残る。
どうしても、どこにいてもラムとダイコを求める中井。
店に無かったら持ち込みする中井。
そこまでこだわらなくても、たまには他のにしたらいいのに・・
男性って食事に関しては冒険しないから、飲み慣れたのがいんだよね。。
しかし飲みすぎ、本の中の中井、大半は酒が入っている。
・ワンタンメンも同様
伴においてはワンタンメンがダンディズムらしい。
ワンタンメン食べたいな、という感想もたくさんあった。
香港を中井より良く知るものとして言わせてもらうと、
ワンタンメン=池記は観光客の発想。
せっかくセントラルにオフィスがあるなら
ヒルサイドエスカレーター横の老舗へ行くのが良い。
ワンタンも池記より大きい。
ちなみにわざわざ銅鑼湾までいかなくてもセントラルにも池記はある。
2009年が舞台だからその当時あったか分からないけど。
何にせよせっかく香港にいるんだから
いつもいつもワンタン麺ばっかり食べていないで米線とか、河粉、
台湾麺、刀削麺、もっと他の麺類にもチャレンジしてほしかった。
アホの一つ覚えみたいにワンタン麺ばっかり食べて。
・いきなり殺人する中井
サラリーマンがバスローブ一本で大の男を絞殺できるなんて簡単すぎる。
もっと抵抗されたり、もみ合いになったりするのが自然では?
どんだけ中井が強いんだ?
殺人するくらいなら、会社辞めたら済む話でもなかったの?
辞めても殺されるくらいだった?
・「私が王だ」と言う中井
いや、現実と妄想が入り混じってますって。
ほらーいつもキューバリブレ飲んで酩酊状態だから
ついにそんな狂言まで吐くようになってしまったね。
いくら占いで王と言われたからって、信じたらだめだお。
君は王じゃないよ、董事長だよ。
・キスされる中井
もう38歳だからキスくらい挨拶なのかもしれないけど
彼女がいるのに、殺人した直後とはいえ、キスされそうになったらよけろよ。
何が「俺も男だから何するかわからないよ」みたいなこと言ってんの。
彼女がいるんだから、そこのところしっかり自制してください。
・何もかも盗聴されている、そのこころは?
森川もとい鍋島は追われている身だから幻覚、幻聴、思い込みが激しいのかも。
覚せい剤をやってた某有名大物歌手Aスカ氏だって、
盗聴されているとか監視されているっていつも言ってるから。
森川さん睡眠薬飲んでるらしいけど、悲しいけどそういうことなんだろうね。
電話も会話も盗聴されている、日本に筒抜け、なんて
日本の誰が聞いているの?本社そんな暇なの?
何か聞かれてまずいことあった?
・誰でも見抜ける森川の正体
最初にサイコロの中から鍋島の手紙が出てきて、
そこで整形して2歳も年齢が若返ったというくだりで
森川だって分かりました。ひねりなさすぎる。
本の最後の最後で森川が鍋島だったんだね、知ってたよ、と
まるで自分は見抜けたみたいに中井は言うけど
私たちもずいぶん最初から知っていましたよ。
・由紀子は実在しない
男性で、しかも50代以上の作者が書いた女性像。
女性目線で見ると、由紀子のような女性はこの世に存在しない。
私は少女漫画と少年漫画は永遠に平行線だと思っている。
少女漫画は、主人公だいたいドジでおてんば、
イケメンがグイグイ強引にアプローチしてくる。
壁ドン、バックハグ、顎クイ、逃げても離してくれない抵抗願望。
一方、男性漫画に出て来る女性は身勝手な妄想。
ラムちゃんにしろ、エルちゃんにしろ、
ダーリンダーリン言ってセクシーな恰好で追いかけてくる。
浮気を怒っても、すぐに許してくれる。
由紀子は男性漫画に登場するやつ。
そもそも、結婚する気が無い38歳と付き合って結婚を迫らないのは本音か?
由紀子は遠慮しているんじゃない?中井が鈍感だから気づかないだけで。
もちろん世界中の女性が結婚願望あるわけではない。
一度、離婚しているから結婚にこだわらないのも分かるがそういうこと?
でも香港にまで仕事を辞めてついてくなら、
中井の口から着いて来てと言わせるべき。
男性が描くやりとり「じゃあ抱きたい」「じゃあは、よけい」
現実の女性とのやり取り「じゃあ抱きたい」「じゃあって何よ?!もういい!」
・38歳とは思えないシニア感
執筆当時の作者は40代のはずだが、何にせよ今の50代。
シニア世代には何ら違和感なく読めると思うが、
女性のミドル世代の私でもちょっと違和感がありすぎる。
38歳の中井を描いているが、貫禄が、言動が、行動が、シニア。
サラリーマンが海外駐在になって香港に来て、とにかく偉そう。
若い駐在員はもうちょっと若さゆえの腰の低さがある。
董事長だからって偉そうにすれば良いってもんではない。
王と勘違いしているから仕方ないが。
・伴が弓で殺される
なぜガンではなく、銃でもなく、弓が刺さって・・
・命の尊さが無視されている
鍋島を守りたいのは良いけれど、関係ない人が殺されすぎ。
井上副社長や伴は登場人物なので仕方ないとして、
最後に身代わりで殺された二人も人の子で、親いるんですが。
鍋島さえ無事なら何人殺してもいいっていう身勝手さが理解不能。
中井は38歳じゃないだろう、学校でちゃんと人権学習受けてない世代か。
教えてもらわなくても38にもなって命の大切さが分からない冷たい人間。
・一般人が偽造パスポート作成できて、ブローカーと何で知り合い?
カイザー・リーが偽造パスポートを作ってくれたのは分かるんだけど
後半で自ら色々と準備して由紀子に持たせたりしているのが現実離れ。
サラリーマン当時からブローカーと付き合いがあったみたいだけど
そんなサラリーマンいる?
こんな事態になる前から、どんだけヤバい仕事してたの。
由紀子も、偽造パスポート渡されてほいほい使う意味が分からない。
そうしないと由紀子も危ない、なんて殺人犯の彼氏に言われたら
私は彼氏にブチ切れます。 その前に殺人犯と別れます。
・データ改ざん問題
森川がめちゃくちゃ賢かったようだけど、 データ改ざんしすぎ。
解けない数学の問題はないなら、この世の数学界ってもう完結してるの?
どんな学者にも解けない問題がまだまだあると聞くけど。
・ハードボイルド
終盤、いきなりのハードボイルドな展開があります。
男性読者は驚きつつもハードボイルドの一言におさまるようですが
正直、目が点になりました。
ルーフトップバーはバンコクで行ったことがあるので想像つきます。
これはベトナムだけど。街から段々と明かりが消えるシーンだけ良かったです。
しかし、外国の街の電気を意図的に操作するなんて
えっそんなことできるんですか?と吉本新喜劇風の突っ込みを入れました。
それに、停電いらなくない?監視カメラの画像を後から削除できるんでしょ?
そんな大掛かりで住民に迷惑を掛けなくても、君らもっと他にもできそうだけど。
防弾チョッキを着てこなかったのに、蓮花を生身の身体でかばって撃たれた。
着て来いよ!だいたいそういう時に限って打たれる法則があるでしょうよ。
しかも蓮花がテッテレー!「実は私、防弾チョッキを着ていましたー」って、
それ無駄に銃弾を受けた中井に言う必要なくない?
せっかくかばってくれたんだから空気読んで黙っておいてよ。
それなら中井君にかばってもらわなくても平気だったのに。。
さらに、恋人でもない蓮花はかばうっていう最後の優しさ
中井って冷たい人間だけど女性には優しいってこと?蓮花が美人だから?
由紀子よりも蓮花の方が好きな気がしました。
・中井が仕事しなさすぎ
いくら接待要員としても、仕事しなさすぎ。
ほんとにふんぞり返って昼寝してるだけ。
・なのにびっくりするほど稼ぐ
億稼いでも、お金のたまらない人の使い方。
ペニンシュラホテルが安全だか何だか知りませんが、連泊はやりすぎ。
日本に帰ってもセレブ気分が抜けず38歳サラリーマンがペニンシュラ宿泊。
飛行機もビジネスクラスやファーストに慣れてしまったら
エコノミーじゃ物足りないでしょう。38歳でこんなんで今後の人生どうするの。
・車寄せ
という単語がすぐ出てくる。ホテルの車寄せ。
あの正面玄関に近い車が来るところ。屋根が付いているところ。
なんかさ、ロータリーとかじゃ厳密に意味が違うからだめだった?
「車寄せ」なんて単語を使うのはシニアだよ。
やっぱあそこはホテルのロータリーじゃない?
・恋愛小説か?初恋を思い出すか?
帯や書評では、学生時代の甘い気持ち、叶わなかった恋を思い出す、
という感想をたくさん見かけたが、どこが?
終始、男性目線の恋愛物語。
高校の回想にせよ、あんなツンデレな感じでチョコをくれる女子はいない。
その後違う子と付き合ったのなら、なおさら中井に鍋島を想う筋合いはない。
鍋島のこと気になってるんなら、違う子と付き合い続けるの失礼すぎる。
当時の彼女の思い出は何にも語られないのに。
それから、鍋島のことひきずっていたのは中井の方で、
現実なら鍋島が元彼でもない中井のこと大人になってまで
引きずるのは現実ではあまりあり得ない。
女性は元彼のこと、昔好きだった男のことそこまでひきずらない。
ましてや森川になってまで傍にいたいなんて思うのは架空の女性像。
そもそも高校時代のつかず離れずの距離感の男女の
再び叶わなかった甘酸っぱい恋愛、を書きたいらしいが
現実的には男女の思考の違いによってこんな話は成立しない。
などなど。
こないだ「テセウスの船」というドラマがありました。
最初こそ突っ込みどころ満載で、細かいところを指摘すると
随分と雑だなーと思って見ていましたが。
出産直後に分娩台で嫁が「お父さんを信じたい」なんていう余裕ありません。
そんなことより赤ちゃん、そんなことより自分の身体の痛み。
旦那のお父さんのことなんてこの瞬間に考えられるわけありません。
タイムスリップしてからもお父さんお父さんで、自分の赤ちゃんの心配ゼロ。
いっつもどこか出かけてはハッキリ言わない心さん、を何も聞かず迎える母。
などなど・・
でもこれはこれ、フィクション、架空の設定、と思って割り切れば
面白く見れて最後も全ての謎が回収されとてもよくまとまっていました。
キャストも歌もとても良かったですしね。
それと同じで、この小説も、ドラマ化して良いキャストさんが演じれば
中井の嫌な感じが和らぐかも。
全体としては、マクベスを現代版になぞらえて構成されているので
映像でマクベスの舞台をさし込んで見ても良さそう。
しかし、「王」なぁ。
「恋つづ」のドラマの中で「勇者」にコスプレするあれ?
何にせよ、香港、ベトナム、台湾、タイが舞台のドラマって面白いと思います。