こんにちは、ヒナタです。
ひったくりに遭ってしまったら、というテーマで①と②の記事を書きましたが、
このテーマの核心、事件の一部始終について触れていこうと思います。
香港在住の日本人で、不幸にも中国でパスポートを失くしたという方がいれば
手続き等の情報は役に立つかもしれません。※2011年当時の情報です。
時期がまずかった
まずは起こった時期についてです。2011年の旧正月は2月3日(木)が元旦で、祝日としては4日(金)、5日(土)まででした。
一般企業などは旧正月前後で約2週間ほどが休みになります。
私たちが海南島へ着いたのが2月3日で、翌日の2月4日(金)に事件は起こりました。
祝日でも警察はやっていましたが、日本領事館は休みですし、パスポートやビザの発行など、
その後の諸手続きする上でお役所が開くまで待たなければなりませんでした。
現金をたくさん持っていた
さらに私は普段よりも多めに現金を持っていました。広州空港へ行く途中、友達が「旧正月中なので口座を持っている銀行ATMが使えない」と言い出しました。現金は多少持っているものの、旅行前半はお金が引き出せないから代わりに払って欲しいと言い出しました。もちろん友達ですし、中国の銀行のシステムは良く知りませんから友達が言うようにATMでも休み中は使えないというならそうなのかもしれません。ひょっとして私に払わせようとしているのか・・?とも考えましたが、いちおう付き合いの長い友達で、お金にせこい人ではないことは知っていたので、食事代や飲み物代など、私が支払っていました。
私は人民元を持っていましたが、チェックイン時にデポジットを500元支払い、
それから友達の建て替えをしているのでみるみる現金が無くなってしまいました。
そこで近所のATMで現金をおろすことにしました。
今日はタクシーを貸し切りにすることになっているし、多めに5000元を引き出しました。
貴重品の全てを持っていた
観光地に出かける前、私はスーツケースに貴重品を入れておくか悩みました。三ツ星ホテルほどのセキュリティでは、掃除に入った従業員が窃盗するケースがあります。
私はこのホテルじゃホテルに置いておく方が危ないなと思いました。
ドアにも海南警察の張り紙があって、スリやひったくりが多いので注意するようにと書いてありました。ホテルの中にまでそんな警告があるくらいですから、海南島というのは本当に治安が悪いのだと感じました。
悩んだ挙句、私はパスポートと、財布など貴重品を全て持っていくことにしました。
日本のキャッシュカードなどはスーツケースに置いておこうかとも思いましたが、
ホテル内で取られるくらいなら自分で管理した方が安心だと考えたのです。
貸し切りタクシーをキャンセルした
また、前日の白タクを貸し切りにして観光地を周ってもらうことになっていましたが、そのタクシー運転手の感じが私はどうしてもイヤでたまりませんでした。
そのホームレスのような人物、前歯が抜けていて、ボロボロの身なりで、檳榔の実をしがんでペッと吐き出す様子が、私は気になって仕方ありませんでした。友達はそこまで抵抗が無かったようですが、私はどうしても嫌でたまらず、まだ一つ目の観光地にも行っていないのに、「やっぱり今日は自分たちでその都度タクシーを捕まえて移動しよう」と言いました。友達はそうまで言うならと、その運転手にうまく言ってくれ、今日渡すはずだった貸し切り代にも満たない小銭を渡して何とか機嫌を損ねず帰ってもらいました。
どのようにひったくられたのか
もう思い出すのも嫌ですが、あの時の衝撃は今も忘れられません。私は斜めかけの鞄を下げていて、防犯対策のために常に鞄に手をやっていました。
何処で誰にすられるかわかりませんから、ファスナーもきちんとしめていました。
観光地の一つ、「天涯海角」というビーチの傍に立つ岩を見た後、サイドカー付きのバイクタクシーに乗ることにしました。バスもあるのですが、何の表示もなく路線がよく分からないし、タクシーもあまり見かけませんでした。バイクタクシーだけは客引きをしながらその辺にたくさん止まっていたので、友達が値段交渉をして乗ることにしました。
バイクには運転手、サイドカーには友達、その横に私、という順で横に並んで乗り込みました。
サイドカーには屋根がついていて日よけになります。
旧正月は冬まっただ中ですが、中国のハワイと呼ばれる海南島は夏の様に暑く、日差しが照り付けていました。小さい屋根はついていても、端っこに座った私には屋根の陰に入れず日を受けていました。こんな時期に日焼けをしたくありませんでしたが、友達と代わってというわけにもいかず端っこに座っていました。
大きい道路に入り、バイクとサイドカーで走るのは不思議なものでした。
車がびゅんびゅん走っている車道に、自分の身体が風に吹かれてむき出しになっているのです。
こんな状態で片側二車線の主要道路を走ってるので、他の車の様子も間近で見れます。おもしろがっているのか、バイクに二人乗りの若者が至近距離まで近づいてきました。顔を覗くと何がそんなに面白いのか笑いながら私の横を追い越しそうで追い越さない距離で並んで走っています。ちょっと危ないな、とこちらの運転手も振り切ろうとしていますが横にぴったりくっついていました。なんとか彼らが後方へ行き、見えなくなったので私たちはほっとしました。田舎だから地元の若者もやんちゃなんだろう、何処も変わらないなと思ったものです。
そしてまたしばらく走ると、主要幹線から道をそれて田んぼ道を行くことになりました。田んぼのあぜ道は舗装された道路と違い、土の地面はガタガタでした。車体が揺れて落ちると危ないのでしっかり車体と膝に置いた鞄を握りしめていました。
その時、後ろから追い抜いてくる車輪の音がしました。左の視界に入った時、さっきの若者たちが追い抜こうとして来ているのに気が付きました。こんなところまで追いかけてきたのかと、二度目の顔、つまり見知らぬ顔ではないので何をしに着いて来たのだろう?と思いました。
ちょうど後部座席の少年が私の横に並ぶ少し前、左斜め後ろから一気に手を伸ばして私のかばんをぎゅっと掴みました。そして、そのままぐいっとひっぱりました。私は突然の出来事に驚きながらも鞄の上に置いていた手に力を入れました。けれど、力を入れたタイミングよりも一息先に鞄は手からすり抜けて行きました。私はショルダーバッグをしていたので、引っ張られても肩からがショルダー紐が外れるわけはない、しかし私が勢いで引っ張られて車外に引きずり出されないだろうか?と一瞬で考えました。しかし、なんとそのショルダー紐はいとも簡単に肩と腰から外れ、鞄にくっ付いたまま長く風になびきながらバイクの男たちと共に前方に小さくなっていきます。
身の危険を回避したことは理解しましたが、鞄を追いかけなければなりません。友達は眠そうにうつらうつらしていたのですが、鞄が取られる直前に異変に気付いて目を覚まし、私の鞄が取られる瞬間にアッと声を上げました。前方に去って行くバイクを見つめ、運転手にしきりに追って!あと100元、500元でもやるから早く!と言ってくれました。運転手は、あまり重大に受け止めておらず、やられちゃったね、こりゃ仕方ないね、これが精いっぱいのスピードだから追いつけるわけないよ、と気弱に言って、そのまま運転を続けました。前方にバイクも、私の鞄も見えているのに、手が届きません。何かの嘘じゃないかと思いました。ゲームや映画の世界みたいに、この距離から何か攻撃して撃ち落とす方法は無いのか?残念ながら、私の手からカメハメ波が出るわけでもなく、バイクが見えなくなるまで見送ることしかできませんでした。
後を追いながら、どうにも追いつける気もしないし、それにこのまま予定通り温泉に行っている場合なのだろうか。友達が「警察に行こう」と言った一言で、ふと自分はたったいま、ひったくりの被害にあったことを自覚しました。
0 件のコメント:
コメントを投稿