2017年11月13日月曜日

香港も少子高齢化、将来どうなる?


こんにちは、ヒナタです。

香港では、妊婦さんをよく見かけます。私は日本にいた時、妊婦さんを実際に見たのは数えるほどしかありませんでした。まだ十代、二十代の頃でそういう世代の人に関心がなかったから目に入って来なかったのかもしれませんが、それでも香港に来ると、イヤでも妊婦さんを見かけます。

ご存じの通り、香港女性は妊娠しても出産ギリギリまで働き、産休は10週間のみ、すぐに職場に復帰します。産休の10週間は出産の前後10週間で、いつから休んでも構いません。だいたいみんな予定日前の数日まで働き、産後はできるだけ長く休めるよう産休を取っています。それゆえ、臨月の妊婦さんでも普通に地下鉄に乗って通勤していたりするわけです。日本ではちょっと見ない光景ですよね。

香港では皆が妊婦さんを見慣れているせいか、周囲の人はお年寄りや子供に次いで、妊婦にも優しくしてくれます。女性はもちろん、おじさんも、チャラチャラした若い男の子も、みんなスッと席を譲ってくれます。結構遠くに座っている人がわざわざ来て席を譲ってくれたり、手招きしてくれたりします。譲らずにはいられないんでしょうね。本当にありがたいことです。私が妊婦の時、もちろん堂々と優先座席に座らせてもらうわけですが、妊婦さんが数人乗って来たので、私よりもお腹の大きな人に譲ったことがあります。日本でも優先座席の周りに高齢者がたくさん集まったら、比較的若い高齢者が席を立つしかないですよね。そういう感じで妊婦さんだらけになることもありました。

そんな香港ですが、日本と同様に少子高齢化なのです。2015年の統計になりますが、日本の出生率は女性一人当たり1.45人ですが、香港は1.2人でなんと日本を下回っているのです。一方、香港の平均寿命は世界一となりました。日本の厚生労働省が2016年に公表したデータによると、香港人男性の平均寿命は81.32歳、女性は87.34歳で、日本男性の平均寿命80.98歳、女性87.17歳を上回り、2年連続で世界一の長寿となりました。長寿は良いことですが、数字の上では高齢者は増える一方なのです。

日本の少子高齢化は何となくイメージできます。私は日本に帰るたび、右も左も高齢者だなと実感しています。実家の方は田舎なので都市部に比べると若者は少なく、最寄りの駅で見かけるのは高齢者の他は中学生や高校生ばかりです。学生さんたちはいずれ進学のため都市部の大学・短大・専門学校へ行き、大多数はそのまま都市部で就職して地元には帰って来ないのです。

でも、香港で少子化?右も左も妊婦さんばかりなのに、どうして少子化なのでしょうか。香港で出産した人の話では、公立病院の産婦人科は混んでいるという話です。日本みたいにゆっくり一人一人に時間をかけていられないので、何時間もかかりそうだったら陣痛促進剤を打つし、帝王切開になることもあるそうです。陣痛室も産まれそうな人でいっぱい、分娩室は今にも産まれそうになるまで入れてもらえないそうです。公立病院は香港IDカードがあれば一日100HKDほどしか費用がかからないので妊婦さんが集中するのです。それにしても、毎日一定数の出産があるのに、どうして少子化といわれるのでしょうか。

香港は、英国統治時代から出生地主義で、香港で出産したら外国人の子でも香港籍が取れました。今は香港で出産しても、外国人の子どもは香港籍は取れません。(ただし両親が外国人でも香港に7年以上居住して永久居民であれば子供も申請して永久居民になれます。)ちなみに香港籍というのは、香港のパスポート(中華人民共和国香港特別行政区と書かれたもの)が取れるということです。今でも中国本土の中国人が香港で出産した場合は、香港籍も取れます。

すると自然と、香港籍を得るため中国本土からの中国人がこぞって香港にやってきて出産をするわけです。両親の片方が香港人であれば、おのずと香港で産みたいと思うでしょう。香港の公立病院は安い上に最新の医療設備が整っています。その上、両親ともに中国人にもかかわらずあえて香港で産みたいという人も加われば香港の公立病院のベッド数が足りなくなるのは当然のことです。香港籍を取得しても、将来その子供たちが香港社会にどれだけ貢献してくれるかは不明です。香港で出産する妊婦さんの約4割は本土からの中国人だそうです。私は私立病院で妊娠検診を受けていましたが、待合室でよく中国人夫婦を見かけました。

実質出生率が低い香港ですが、これからの少子高齢化対策は特に打ち出していません。日本は今、こぞってこの問題に取り組んでいますが、香港では出産を推奨することはせずあくまで個人に任せています。香港といえばこの他にも人口割合で女性の方が多く、結婚できない女性が多いとか晩婚だとか、不動産が高すぎて(香港の不動産は世界一高い)経済的に苦しいから子供を持たない夫婦が増加しているとか、教育費用がバカ高い(教育熱心でお受験は幼稚園から)など、色々と少子化につながる要因があります。それでも香港政府は、少子化抑止のために援助はしないと言う姿勢です。

なぜなのでしょうか。香港への中国本土からの人口流入は加速の一途を辿っています。日本は日本人だけで少子高齢化問題をなんとかしなければなりませんが、香港は違います。香港は魅力的な場所ですので、政策を変えれば中国本土から若者の流入を増やすことだってできるのです。

しかし一方で中国本土も、一人っ子政策の影響で少子高齢化が懸念されています。そのため一人っ子政策は2016年に廃止されましたが、時すでに遅し、今の中国は教育費も住居費も高くなってしまい、若い夫婦にとっては政策でなくとも子供は一人でいい、或いは産まないと言う風潮になってきています。いずれにしても、数十年後に香港が完全に中国となったら、少子高齢化は香港だけの単独の問題ではなく中国の抱える問題として取り扱われるのでしょう。

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