2018年1月28日日曜日

なぜ日本人は台風でも大雪でも出社するのか


こんにちは、ヒナタです。

日本はここ数日、日本海側でドッサリ雪が降ったようですね。
雪がよく降る地域というのは、雪対策がある程度されているので実はそれほど心配することはありません。そういう地域は交通信号機(赤黄青)が横型ではなく縦型だったり、道路には消雪パイプがあって水が出るようになっており、雪を溶かしてくれます。

東京のように普段あまり雪が降らない地域に大雪が降ると、そういう対策が無いので混乱してしまうわけですね。

さて、私も日本の雪国に住んでいる友人が心配で連絡を取ってみると大雪警報が出て幼稚園は休みになったそうです。しかしご主人は出勤したとのことでした。考えて見れば、幼稚園が休みになるのに大人は出勤しなければならない、この差は何なのでしょうか?
どうして日本人は台風でも大雪でも出勤しなければならいのでしょうか?

香港の場合
香港で大雪はまずありませんので、台風のケースを例に考えてみましょう。

香港の場合、台風はシグナルで表示されるのでシグナル3が発令されたら学校が休み、シグナル8以上が発令されたら会社も休みとなります。

朝の出勤時間までにシグナル8以上が発令されれば、出勤する必要はありません。もし解除されれば、2時間以内に出勤すればよいという会社のルールが一般的です。

また、出勤した後にシグナル8以上になった場合は、会社の判断で帰宅させます。もし帰宅する方が危ないという場合は会社に留まるのですが、ほとんどの場合は帰宅させます。

同じく、台風でなくても大雨にもレベルがあり、黄雨、赤雨、黒雨、という三段階になっており、黒雨になったらシグナル8と同様に出勤前なら自宅待機、出勤後なら帰宅となります。

台風の日の香港人はお祭り騒ぎ
上記のように出勤前であれば、自宅でシグナルが解除されるのを待ってから出勤すれば良いのですが、出勤後の場合、実際に香港人は仕事どころではありません。

台風が接近しているけれどシグナル8以下なので出勤した場合、勤務中にシグナル8が発令されるかもしれません。定時まで仕事をしなくても帰れるのではないかとみんなソワソワし始めます。シグナル8が発令されたら蜘蛛の子を散らすようにみんな帰って行きます。


そして帰りにスーパーでお菓子や食料を買い込む人が多いので、帰宅途中でスーパーに寄ったら大混雑というパターンです。

台風の日の日本人は冷静
日本人(駐在員や現地採用)は、シグナル8だろうが黒雨だろうがとりあえず出勤します。
私も香港に来て最初のころ、シグナル8が発令されているのに、外の雨も風も大したことなかったので出勤したところ、 駐在員の上司も当たり前のように会社に来ていました。「これくらいでシグナル8なんて香港天文台も甘いよね」「香港人は誰も来ていないね」「君はやっぱり日本人だね」などど会話をした覚えがあります。その日は結局、上司もそろそろ帰るから君も帰りなさいと言われて、午前中だけ仕事をして帰りました。


出勤して正解だったなと思った記憶があります。日本人の上司はみんな来ているのに、私だけ行っていなかったら、印象を悪くしたかもしれないからです。

台風の日に出勤したら日本人以外は誰も来ていなかった、という話は香港内の日本人の間で冗談半分によく話題に上ります。そして香港人はすぐ休みたがるとか、普通日本人は何があってもとりあえず会社に行くとか言うのです。

香港に住み続けて徐々に理解した日本人の異様さ
しかし何年も住んで、何度もそういう経験をしていると、当たり前の光景になってきます。シグナル8が発令されても必ずしも外の天気が荒れているとは限りません。それでも、やっぱり無理していくほどのメリットはあるのだろうかと思う様になりました。無理に出勤しても同僚も取引先も誰も出勤していない、こんな日に何か急ぎの要件があっても、すぐに対応できなくても許されるはずです。それに、シグナル8の日にわざわざ外へ出て落ちてきた看板に当たったら、笑いものです。

そのうち、日本のテレビで観る台風中継がおかしく思えてきました。傘が吹っ飛びそうになりながら街ゆく人々は、どうして今日こんな天気と分かっていて外にいるのでしょうか。世の中には医者や鉄道員や報道関係者など、どうしても出勤しなければならない職種の人もいます。でも、多くのサラリーマンはどうして今日一日を休めないのでしょうか。あんなにびしょ濡れになったスーツで出勤して、帰りは交通機関がストップして、駅で足止めをくらう。そこまでしなければならない仕事って何なのでしょうか。

台風中継を見ながら、この人たちは命がけで出勤しているけれど、本当に飛んできた何かに当たって死んでもいいのだろうかと思ってしまいます。

日本では出勤するのが正しい
私も日本で育ち、日本で仕事をしていたのでその文化は肌で理解できます。
日本では、出勤するのが正とされます。電車が止まらない限り、交通手段があるかぎり、出勤しなければなりません。もし遅刻したら、台風が来るとわかっていたのにもっと早めに出勤しなかった自分の責任を問われるでしょう。

台風の日に出勤したら、いつも通りの顔が揃っていて何事もなかったかのようにいつもと同じように仕事をしています。台風で出勤したからと言って誰も褒めてくれません。もし出勤する前に飛んできたゴミ箱に当たって怪我でもしたら、それは自分の不注意になってしまうのでしょうね。怪我が怖くて自宅待機している人なんて一人もいませんでした。

日本の常識は世界の非常識
香港と日本の比較だけにとどまらず、日本以外の国ではやはりこういうケースは休むものです。命あっての仕事ですから、仕事のために命を落とすのは本末転倒です。
たった一人、たった一日、仕事をしなかったことで地球の自転が止まるわけではありません。

香港にいる日本人が香港人スタッフを不真面目だと判断するのは世間知らずだと思うのです。無理をして評価されるのは、いや、評価なんかされませんね、無理をしても「それが普通」と思われるのは日本だけに通用する常識です。日本の外では、それは行き過ぎた概念と見なされます。台風の中をビショビショになって出勤するサラリーマンのことを、海外の人は素晴らしいと評価するどころか笑っているのです。

日本にいる限り、日本のルールに従わなければなりません。過去にくらべ自然災害が多くなった日本ですから、徐々にこのルールも変わっていくと良いのになぁと思います。

今や熱中症が不安で、部活中に勝手に水を飲んではいけない!なんて根性論を言う人もいないでしょうから。

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