2018年3月4日日曜日

香港人の仕事の仕方③責任範囲がきっちりしている


こんにちは、ヒナタです。

前回に引き続いて、香港人の仕事の仕方について書いていきます。

①はこちら
https://hidamarihk.blogspot.hk/#!/2018/03/blog-post.html

②はこちら
https://hidamarihk.blogspot.hk/#!/2018/03/blog-post_3.html

今日は、仕事の責任範囲についてご紹介します。

どこまでが自分の責任なのかはっきりしている
例えば、たまたま自分の会社の受け付けを通りかかった時に、会社の電話が鳴ったとしましょう。普通であれば、受付にいる担当者(女性の場合が多いです)が電話に出て、取次ぎをするのですが、その担当者がたまたま席を外していたとします。

あなたなら、その電話に出ますか?

日本なら、それは会社にかかってきた大事な電話なのですから、社員である貴方が出ても全く問題はありませんし、むしろ電話をかけてきた相手に対して、電話に出ないのは失礼ですよね。
営業時間内に電話をかけてきているのに誰も出ないなんて、不審がられてしまいます。

しかし香港の場合、電話が鳴っていようがほとんどのスタッフは全く無視して電話に出ません。
まれに、気を利かせて電話に出ようとするスタッフもいるにはいます。

日本人としては、電話に出るスタッフの方が好感が持てるのですが
電話に出ない香港人の言い分もあるのです。

彼らは、受付の仕事は自分の仕事ではなく、受付の人の仕事なのだと思っています。
自分の与えられた仕事の業務外なので、自分は出る必要がないと思っています。

もう一つ言うと、出てしまうと逆に迷惑になるかもしれないとも思っています。
どんな電話かもわからないのに、いつも通り受付けの人が出た方がスムーズだし、
受付の人が処理中の案件かもしれません。
(受付の人はホテルや飛行機の予約など庶務を任されていることがあります)

そして実際に、自分が親切心から電話に出たばっかりに、戻って来た受付の人から
「出なくていいのに」と逆に嫌な顔をされてしまうことがあります。

こういった一見よくある簡単なシチュエーションでも、自分の仕事と他人の仕事はきっちりと線引きしているのです。そうなると、もっとややこしいケースでも、「これは私の仕事じゃない」「これは私が決めることじゃない」「これは貴方の仕事でしょう」と線引きをします。

日本でも誰が処理する仕事かでトラブルになることがありますが、それでも日本は最終的には団体責任という雰囲気があります。相手がやっても自分がやっても良い内容なら、自分がやっておいてあげるのが親切ですし、気が利くというものです。香港の場合は、自分がやるべきところまではきっちりやりますが、それ以上のことはしませんし、してもいけないとすら思っています。

トラブルが起きたら
仕事をしていて一番やっかいなのがトラブルが起きた時なのですが、香港では自分に関係があるかないかで全く態度が変わります。

何かが起きた時にその原因は誰にあるのかというのを追及しますよね。
もちろん皆、自分は知らないとか聞いていないとか、やっていないなどと責任逃れを主張します。

それで、もし自分に関係がないと判断されれば香港人は心の底から安心して、その後のことは一切我関せずという態度を取ります。日本なら、たとえトラブルの決定打を打ったのが相手だとしても、その前に自分が気づいてあげられたんじゃないか、と考えて自分にも責任の一端があるような気持ちになりますよね。そしてつい「ごめんね、私も気づけばよかったんだけど」などと言ってしまいます。もちろん相手も「私のせいだから、貴方は気にしないで」という反応をするのです。

もしここで「私が気づけばよかった」なんて言ってしまえば、きっと相手からは「そうよ、なんで気づかなかったのよ。私がこうなったのも貴方のせいよ」などと言われてしまいます。

責任を持ちたくない
私が働いていたオフィスには事務の人たち(ほぼ女性、少数ですが男性も)がいました。日本でいうところの事務の女の子、OLさんなのですが、彼らは昇給は望んでいても昇格は望んでいませんでした。バリバリ働きたいという感じの女性は営業職だったり管理職だったり、それなりにキャリアアップしていて、さすが香港は男女平等で進んでいるなあと思ったものです。ですがそれはそれで、皆が皆、女性はバリバリ働きたいと思っているわけではありません。

どんなささいなことでも責任を取りたくない、昇格して部下をもつなんてもっての外、とにかく事務の仕事だけをしていたいという女性が結構いました。日本のOLでも、主任になりたいと思ってやっている人はそれほどいないと思いますが、香港の場合はあからさまなのです。

そういう人は仕事をしていても慎重で、営業さんが出張などで電話に出られないとすれば、自己判断で問題解決をしようとは夢にも思っていません。営業さんが決めることだから、営業さんと連絡が取れるまでは何も決められません。どんなに客がせかそうと、上司や本社がさわごうと、実際の所、自分でも判断できるような単純な内容だったとしても、責任外のことは断じてできいないのです。

これについては私もヤキモキしましたが、そういう人に言わせると、業務外のことをすることこそおかしいというのです。まあ、下手なことをして何かあってからでは遅いので、ある意味とても安全な考え方なのですが、これくらい前のめりにやっても良いのにと思っていた私は少々保守的に感じました。


いかがでしたか、責任範囲の線引きが曖昧な日本からしたら
香港人はちょっと細かすぎなくらい責任範囲についてはっきりしています。

まあでも、前の記事で書いたように3言えば3やる、10言えば10やるというルールなので
香港人を部下に持つ場合、やって欲しい仕事は細かく明確に分けておくのが良さそうです。

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